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凜恋心【最遊記】

第30章 傷だらけの導


そう。三蔵の頭には三蔵を受け継いだときに山から降りる最中の様子が色濃く甦ってきた。初めて妖怪を殺した時の事…雨に濡れているのか、それとも自身の涙で濡れているのか…それすらも解らない頬の跡…回りを囲まれ、飛びかかられるその時だ。

『さーんぞ!』

雅の顔がふと三蔵の頭をよぎった。首にかけてきた渡されたネックレスがシャラっと揺れ、意識を取り戻す。

「あの頃の俺とは…違うんだよ…・・!!」

そう誰に言うでもないまま呟くと、銃を再度構え直し、妖怪達に向けて発砲していった……


その頃の悟空や悟浄、八戒はようやく地下で目を冷ますこととなる。

「……ン…あ…れ?」
「……ん…・・・」
「い……てて…ここは…」
「って…三蔵は?!」
「いませんね…僕らだけでしょうか…」
「んー、辛気くせぇなぁ…」
「お目覚めですか?」

そう声をかけてきたのは街の人だった。

「あの…ここって…」
「よそ者や旅の方は…我が街の為に生け贄になってもらいます。」
「なんの冗談だ?」
「冗談じゃない。妖怪と共存するにはこれしか方法が無いんだよ…」

そういうだけ言って、街の人はその場を離れた。

「ちょ…っ!!それじゃぁ…三蔵や…雅は!?」
「困りましたね…」
「ーーーーーー・・・!!!!」
「なぁにやってんだ?悟空」
「……ッッはぁぁぁぁぁ…開かねぇ…」
「素手で開けるつもりだったのかよ」
「だって!!このままじゃ三蔵が!ダメだろ!!」
「……悟空」
「ま、三蔵もだけど…あいつはまだ銃持ってっからいいだろうけど…」
「雅、ですね」
「……!ダメじゃん!!どっちにしても!!」

そう言いながらも開かない牢屋を握りしめていた悟空。
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