第30章 傷だらけの導
「でも、まぁ、街に入る前でよかったんじゃ無いですか?」
「フン……それもそうだな」
そう話していた。雅は相変わらずちょんっとジープの上に乗っていた。雅を狙いに来るものも三蔵の昇霊銃が唸りをあげる。
「終わったな」
「さっさといこうぜ、もう目の前なんだから!」
そういってジープに乗り込むと最後の一踏みをした八戒。街に入ると雅は顔をしかめた。
「……ンッッ」
「どうした?雅」
「……なんでも無い、なんか…変な感じがしたけど……」
「変な感じ…ですか?」
「俺、なんも感じなかったぞ?」
「そうですね…確かに……」
気のせいだと感じた雅も一緒にとりあえず宿に向かう。
「五人だ。」
「女性の方がお一人に男性の方が四人ですね、ご案内致しますね」
そう言われて雅が一人部屋、残りを一部屋に納められた。
「おんやぁ、これは一体…」
「まぁ、こういう街なんでしょう…」
「…ハァ…」
「なんか三蔵が不機嫌じゃね?」
「まぁま、悟空、察してあげてください?」
そう話していた。その日、夕飯も食べに出る。
「宿屋にないのも珍しいですね」
「ほんとだね…」
「なんでもいいが、……」
「三蔵?」
「なにかありましたか?」
「……いや…」
そう答えると三蔵はふと目をを伏せた。夕飯が終わると悟空と悟浄は浮かれ気分になり、街に出ていく。
「三蔵…すみません、あの二人だけではどうも心配です。先に雅と宿に戻っていてください?」
「…チ、解った」
そう答えると雅は三蔵と一緒に宿に戻っていった。
「悟空も悟浄も相変わらずだね」
「全く。集団行動もなにもあったもんじゃねぇ」
「集団行動、本当、苦手だよね…」
「いい大人が…」
「クスクス…」
小さく笑い合いながらも二人は他の三人よりも早くに宿に戻ると部屋をそれぞれ別に入っていった。
「あ、三蔵」
「なんだ」
「……白竜…借りてもいい?」
「何すんだ」
「一人じゃ嫌だから…」
「…いいんじゃねぇか?」
そう言われ白竜を預かり、雅は一緒に部屋に戻っていった。