第30章 傷だらけの導
花火が終わる前に三蔵は宿に戻ると言い出した。雅の歩きにくさを考慮しつつ、自身も人混みが苦手なのと両方で…
「三蔵…」
「なんだ」
「今日はありがとう…花火…付き合ってくれて…」
「なんて事ねぇだろ。この位。」
「悟浄も一緒じゃないのが少し残念だね」
「要らねえ」
「クスクス…」
「それともなんだ…雅は俺と二人よりもみんなでわいわい…のがいいってのか?」
それは三蔵にしては珍しいことだった。
「どっちも私は嬉しいけど、三蔵と二人ってのもすごく嬉しい」
「…なんだそりゃ…」
そういいながらも人混みをすり抜けながらも二人は宿に戻っていった。
翌日、朝になれば悟浄も戻ってきており、一行はジープに乗り込んで次の街に向かっていった。
「なぁな!!次の街までどのくらいだ?」
「今度の街は近いみたいですよ?」
「そっか!!でもさ、昨日の花火、めっちゃきれいだったなぁ…」
「俺も見たかったわ、雅の浴衣姿…」
「めっちゃかわいかった!」
「ね、悟空、もうそれいいから…」
「照れんなよ!三蔵もすげぇ珍しかったし…!あぁいうのもたまにはいいのな!!」
そう話していた。途中で昼食も摂り、出発して目的地も目前と言う時だった。妖怪の一群が襲ってきた。
「三蔵一行ぉぉ!!その命と経文!俺たちがいただくぞぇぇい!!」
「いい加減聞き飽きたな……この台詞も」
「下らねえ事言ってねえで、さっさと殺れ」
そういわれて悟空と悟浄はジープを降りた。