第29章 夜空に咲く、花
「なぁなぁ!せっかくなんだからさ!明日、三蔵それ着て出掛けようぜ!」
「悟空?明日にはこの街出る予定なんですが…」
「そっか……でもまぁ、!いつでも見れるよな!」
「そうですよ、楽しみが増えましたね、雅」
「ん!!楽しみ!」
そう話していた。しかし、その時は意外と早く来た。
夕食の時、もう薄暗くなってきているにも関わらず、まだ外はざわざわとしている。宿で夕食をしていた四人は外の様子を気にしていた。
「何だか外騒がしいね…」
「何でしょうか」
「おや、旅の方。知っていてこのタイミングでいらしたのでは?」
「何かあるんですか?」
「この街の花火大会の日なんです。今夜。なので皆楽しみにしているんですよ?」
「花火……?って何?」
「火薬を玉に詰めて、打ち上げるんです。諸説あるのですが、赤や黄色などの色が夜空に花の様に広がるので花火、というらしいですよ?」
「へぇぇ、俺見てみたい!!」
「私も!」
「なぁ三蔵!」
「…チッ…おい八戒、お前も来い」
「いいんですか?」
「悟浄が居ないんだ。俺一人で二人は面倒見きれん」
「…なるほど、そう言うことですか」
「そう言えば、悟浄は?」
「…知らん」
「きっと、今日見た店員さんと……」
そう言うと悟空はキスの真似事をした。
「……そっか…!」
「だろうね」
「…フン…」
そう言っていた。
・・……その頃の悟浄……・・
悟空の予想通りに昼間の休憩の時に入った店の店員と一緒にいた。戯事を済ませ、悟浄は裸のまま、女性は軽く服を着て、ベッドの上にいた。
「悟浄さん……」
「ん?どうかした?」
「私…悟浄さんと一緒にいたい…」
「あーー、ごめん、明日にはこの街出る」
「え…どうして?」
「んー…ま、野暮用?」
「大事なこと?」
「まぁ、な」
「私…悟浄さんと一緒にずっといたいって思ってる…どうしてもだめ?…何でもするよ?身の回りとか食事とかも…!」
「あ、そう言うの……ごめん」
そう言いながら、ふぅっとたばこをふかした悟浄。しかし、女性は諦めないと言わんばかりにたばこを奪い取りそっと唇を重ねようとした。