第28章 公園デート
「宿に戻るまでの間、繋いでてやるよ」
その手を取ると、雅は満面の笑みで『うん!』と答えていた。
そして広場を出て、宿に向かい戻って居る途中、二人の姿を見つけていた人が居た。
「あっ!八戒、あれ…!!」
「そうですね、雅と三蔵……悟空!待ってください!」
「…え?何で?一緒に帰ればいいじゃん」
「良く見てください?」
「ん?」
「ほら、三蔵の左手と、雅の右手…」
「……!!!八戒!あれ…」
「ね?声はかけずにそのままにしといてあげましょう?」
「…そうだな!三蔵が手繋ぐなんて…珍しいし…」
そう、八戒と悟空が見つけて、話していた。それでも八戒の計らいで悟空は声をかけること無く、ただほほえましく見守っていた。じっと見つつも時折遠目でも解る位に三蔵の優しい表情を見ていた悟空は八戒に話していた。
「なぁ、八戒」
「なんですか?」
「俺さ?昨日の夜雅と部屋、一緒だったじゃん?」
「そうですね」
「その時に雅言ってたんだ。俺の事羨ましいって。なんでかって聞いたらさ。自分の知らない三蔵の事たくさん知ってるでしょって言ってた。」
「それで?悟空は何て言ったんですか?」
「そりゃ長いこと一緒に居るからって。でも、雅だってこれから先一緒にいるんだから三蔵の事たくさん知れるよって話したんだよ。」
「そうですね。」
「でもさ……」
「はい?」
「でもさ?俺…あぁやって三蔵と一緒に手繋いだことって無いんだよ。手捕まれて引きずられたりとかはあるけどさ…?それにあの三蔵の顔。俺も良く見るけど…何か違うんだ。」
「何か…ですか」
「うん。何かさ、三蔵も雅も、めちゃくちゃ幸せそうで…俺のが羨ましい…」
そう言い終わるが早いか八戒を見上げた。
「でもさ、たまにはこう言うのんびりした時間ってのも悪くないな!!」
「そうですね。特にあの二人には、たまには必要でしょうね」
「だよな!三蔵いつもピリピリしてるしさ!!」
そう言う悟空の言葉をきっかけに八戒は『少し回り道しませんか?悟空』と持ちかけた。
「どうしたの?八戒、買い忘れ?」
「三蔵にのんびりして貰いましょう?」
そう言いながらもにこりと笑っていた。そんな八戒に着いて悟空は嬉しそうに着いていったのだ。