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凜恋心【最遊記】

第28章 公園デート


「羨ましそうに見るくらいなら言えばいいだろうが…」
「…でも…三蔵嫌かなって…」
「ま、好きじゃない。でも、たまになら問題ねぇよ…」
「問題って……クスクス…」

絡めて答える雅。それでもこうして三蔵と手を繋いで歩くと言うのは初めてだった。

「フフ……」
「なんだ、気持ち悪い」
「…なんか嬉しくて……」
「たかが手ぇ繋いでるだけだろうが」
「…それが嬉しいの」
「フン……」

なんだかんだと言いながらも、手を離そうとしない三蔵。そのまま街の広場に向かっていった。

「わぁ…ここ!広場だね!!」
「見りゃ解るだろ」
「そんなこと言ってると、置いてっちゃうよ!」

笑いながらも手を離し、雅はパタパタと走り出していった。

「全く……ガキか…あいつは…」

小さく笑いながらも三蔵は木陰のベンチに座っていた。足元に転がってきたボールを拾って子供に渡している姿や、散歩中の犬に声をかけている様子、雅の行動一つ一つが今の三蔵には眩しく見えていた。

『変わらないもの、一つくらいあってもいいと思いますよ?』

そう八戒の言っていた言葉がなぜか今、頭をよぎる。 

「不変なもの…か…」

そうポツリと呟いていた。ふと顔をあげると雅もほぼ同時に三蔵の方を見ていた。

「さんぞーーう!!」

ブンブンと手を振っている相手にふっと口許も緩んでいた。よっと腰をあげ、相手のもとに向かっていった。

「恥ずかしい、やめろ」
「なんで?」
「なんでって……ハァア……」
「それより三蔵!この子、三蔵に聞きたいことがあるんだって!」
「……なんだ、子供」
「あのね?お兄ちゃん、どこか痛いの?」
「……なんでそう思う」
「なんか、難しい顔してる…」
「……プ……フフ」
「笑うな、雅。」
「だって……」
「俺のこの顔は元々だ。別にどこか痛い訳じゃねえよ」
「そっか!よかった!肩に包帯みたいのもかけてるから……」
「これは包帯じゃねぇよ」
「そうなの?」
「あぁ。」
「ありがとう!!教えてくれて!!」

そういうとその子はぺこりと頭を下げてその場を去っていった。
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