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凜恋心【最遊記】

第28章 公園デート


ひと休憩も終えたところで、悟浄はどことなく離れ、悟空は八戒に連れられて散歩と言う名の買い出しへ行った。

「三蔵?」
「なんだ」
「あのね?このまま宿に戻るのも…つまんないでしょ?」
「別に。これと言って他に用事はねぇよ」
「たまにはさ?一緒にお散歩しない?」
「……どこに行くんだ?」
「どこでもいいんだよ…だめ?」
「……行くぞ」

そういって少し先を歩く三蔵の後ろを嬉しそうに走り寄って並んで歩く雅。何を話すでも無く、回りの音を聞きながらもポカポカとした陽気にご機嫌だった。

「あ…」
「なんだ」
「……ううん?」

そう答えながら下から見上げた雅。その視線の先をたどった三蔵。先には仲良さそうに手を繋ぎ、並んで歩いている恋人がいた。手持ちぶさたかのように手を後ろで握りしめたままの雅。回りをキョロキョロと楽しそうに見渡しながらも時おり三蔵を見上げては、ふふっと笑っていた。

「なんだ、嬉しそうだな」
「嬉しいよ?だってこうやって三蔵と一緒に歩くの久しぶりだし!」
「…そうか」
「うん!!」

へらっと嬉しそうに、無防備に笑っている雅を見て、三蔵はそっと袂から左手を差し出した。

「……ほら」
「三蔵?」
「あいつらも居ねぇしな……ま、嫌だって言うなら無理にとは言わねぇよ」
「……もぉ…」

そう俯くと雅はそっと三蔵の左手に自身の右手を重ねた。そのまま三蔵はきゅっと指を絡める。
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