第27章 安らぎのパープル
「お待たせ致しました」
「俺、生ビールジョッキで!」
「あ、僕はホワイトサワーで」
「…俺はぁ、取り合えず桃まんと、春巻きと、豚まんと、あ!!これ!」
「…ジンジャエール」
「私は…オレンジジュースお願いします」
「かしこまりました。」
一度ぺこりと頭を下げて店員は去っていく。
「いやぁ、かわいいねぇ」
「そんな目で見ないであげてください?」
「悟浄、変態みたいに見えるよ?」
「雅、悟浄のナンパと目利きは食事と同意語ですから…」
「そっか…」
「……納得するな、そんなこと」
そう突っ込まれながらも、一番最初に悟浄のビールジョッキがやってくる。
「お待たせしました。生ビールのジョッキです」
「ども、……お姉さん、ここ、長いの?」
「え?あ…はい」
「かわいいねぇ…モテるでしょ」
「そんなこと無いですよ?フフ…」
「ほら、そういうところ、かわいいからさ」
「チッ……」
三蔵の舌打ちとほぼ同時に店員は去っていく。
「おい、悟浄……俺達まで同類と思われるだろ!」
「同類ってひっでぇなぁ」
「少しは大人しくしてろ」
「へーへー」
気の無い返事をしながらも悟浄の視線は気付けば店員では無く、雅に向いていた。
「もぉ…悟浄も気が多いんだから…」
「ステータスと言ってくれ」
「……下らん、安っぽい人生だな」
「うるせぇよ、生臭坊主」
そう言い合っている傍らで八戒は雅に問いかけていた。
「本当にその紫色で良かったんですか?」
「うん、これね…『アメシスト』っていう宝石が一つだけ使われているんだって。すごく貴重なんだって。」
「へぇ、宝石、ですか」
「なんかね、高い値段のはもっとするみたいなんだけど、たった一つだけを使ってるっていうのと、小さな傷があったりで値段が付かないからって。それであのおじさんの家族がこうやって作ってるんだって!」
「そうなんですね。」
「小さくても、宝石には代わり無いから…」
そう呟きながら、雅はそっと石を撫でていた。そんな雅を見て八戒は続けて聞いていた。
「宝石だからと言うわけではないでしょう?」
「……ん、でも、それは秘密」
そっと唇に人差し指を添えて雅は笑って言った。
「そうですか、それは残念です」
くすりと笑い合い、それぞれ届いたドリンクに口を付けていた。