第27章 安らぎのパープル
そういう三蔵の言葉をさらっと聞き流すかのように走り出す雅。悟空も後を追う。そんな二人を見て話し出したのは悟浄だった。
「雅も良く笑うようになったな」
「そうですね、泣く事が多かったですし。」
「多かったんじゃねぇよ、泣いてばかりだろうが、あいつは…」
「でも、頑張って笑っていたじゃないですか」
「そうそう、お前も見たろ?三蔵」
「……あんなの笑ってる内に入らねえよ」
そう呟いて居た。
「でも、まぁ……なんだかんだ言ってもさ、三蔵のお陰じゃねぇの?」
「そんな事あるか。あいつの成長だろうが…」
「素直じゃないねえ」
そんな事を三人で話して居た時だ。一つの露店の前で悟空としゃがみこんでわあわあ話して居た。
「なに話してるんですか?」
「俺的には雅ならこっちの白かピンクがいいと思ったんだよ!」
「でも…これ……きれいだなって…」
「紫…?」
「ん…でも……いいや!」
「いいの?雅?」
「ん!!ごめんなさい、おじさん」
「そうかい?またな!」
そういって雅は立ち上がった。それは雅にしては珍しく紫色を主に、所々に小さな金色の玉が連なり、作られたブレスレットだった。
「いいのか?雅…」
「ん!」
悟空について、食べ物の屋台に向かっていく。その後を着いていく悟浄。八戒は三蔵をチラリと見ていた。
「なるほど…それで紫…なんですか」
「なんだ」
「いえ?」
「…何が言いたい」
「いえ…誰かさんの瞳と同じ色だなと思っただけですよ」
「……フン」
「雅も素直じゃないですねぇ」
「…知らん」
そう言いながらも三蔵を見てクスクス笑う八戒。売られている商品を見ても、悟空の言う事はもっともらしいことだった。雅の持っていた紫のブレスレットよりも、白やピンクなど…柔らかい色のブレスレットもいくつかある。
「三蔵?いいんですか?」
「良いも何も、あいつはいいって言ってんだ。」
「あぁあ、こっちも素直じゃないんですから。」
そう呟いて居た。