第24章 戻りくる日常
「何であいつらのところに行った」
「三蔵からだって思い込んだ手紙が…大木に来いって…話があるって書いてあって…行ったの…」
「……」
「行き違いになるのも行けないからって待って…待って……そしたらメガネかけた男の人が伝言預かってきたって…三蔵って言って、金髪の男の人からだって…」
「……それで?」
「もう待たなくて良い、顔もみたくないって……待っても無駄だからって…」
「…だから行ったのか?」
「その時に長く待ったからって、のどかわいただろうって……飲み物貰って…」
「飲んだのか?」
「……コク…」
「バカかてめえは」
「…そしたら……なんかすごく…良く解らないんだけど…記憶がぐちゃぐちゃになって…そんなこと無い筈なのに…よくわからなくなって…」
思い出すだけでも小さく震える手をキュッと握りしめ、話を続けた。
「その時に目の前に紅、紅孩児さんがきて……三蔵一行とはぐれたのか…?って聞かれて…すごく優しく思えて…」
「八戒が行ったと言っていたが?」
「ん…でもあの時にはなんでか八戒と一緒に帰ったら…また一人になるように思えて……もう一人は嫌だって…」
「ハァァ…」
大きすぎるほどのため息を吐いた三蔵は、前髪をさらっと掻き上げて月を見上げた。
「いきさつは解った。」
「三蔵…」
「それで…、あの時、俺に助けを求めたろ」
「……すごく耳の中がいたくなって……聞きたくない言葉がずっと聞こえていたけど……三蔵の髪が…太陽に透けて見えて…光に見えた。」
「……光、か」
それでも俯いたままの雅。三蔵はカチっとたばこに火を付けた。
「ーーーフゥ…いい加減迷惑なんだよ…」
「…ッッ」
「なんでこんな面倒なヤツ、好きになっちまったのかって…こんな事になるから…守るヤツは要らないって思ってきたのに…」
「三蔵…」
「あいつらは…悟空や悟浄、八戒は俺が守らなくても十分やっていける。だから気は楽だった。でもお前は…雅は違うだろうが…」
「……ごめん…」
「守るヤツがいれば強くなるとか良く言うけど…明日死ぬかも知れねえ…俺達はそんな状況にいる。それなのに、守るものなんて、足手まといにもなるようなものだってずっと思ってた。それでも、雅が居ない事がすごく苦痛だった…」