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凜恋心【最遊記】

第23章 揺れる心


誰もが目を疑ったときだ。ぐいっと引き寄せた三蔵は人目を憚ること無く雅を引き寄せて唇を重ねた。

「……ッッ」

すぅ…と双肩に戻ると同時に唇を離すと、雅の右耳に付いていた黒いピアスもパキン…と小さい音を立てて塵となって消えていった。同時に雅の体は全身の力が抜けていくかのように、三蔵の腕の中に沈んでいく。

「……おい…玄奘三蔵…」
「…悪かったな」
「いや……それよりも…」
「こいつの身柄は俺が引き受ける。いいな」
「……解った」

そう答えると紅孩児は背中を向けた。独角兕もまた紅孩児をおいかける。そんな背中に向かって三蔵は声をかける。

「おい」
「…なんだ…」
「今回の事は…すまなかった」
「フン…次は容赦なく経文を奪いに来る」
「……渡さねぇよ、どいつもこいつも、な」

そう答えて背中合わせでそれぞれ離れていく。三蔵の腕の中で雅は涙の後を残したままで抱かれていた。

「三蔵…!!」
「焦りましたよ…いきなり魔界天上ぶっ放すんですから…」
「ほんと、焦ったよ…」
「そうでもしなけりゃこいつにかけられたものは外れそうになかったからな。」

そういいながらもジープにのせた。

「おい」
「なんだよ」
「仕方ねぇから一緒に乗ってろ。」
「いや、意味わかんねえけど?」
「悟浄?雅に膝枕してあげていてくださいってことですよ。言いたくないから、察してあげてください?」
「解りにくいだろうが!!」
「うるせえ」

そういいながらも、元に戻った後部座席のジープは発進していった。
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