第23章 揺れる心
パァン…!
ビクリと肩を震わせた雅はゆっくりと顔をあげる。その雅に向けて三蔵は銃口を向けた。
「一人が嫌なら、死んでみるか」
「……三蔵!」
「もう俺我慢できねぇよ!!」
「待ってください!悟空!」
「あんのばか!」
そういい追いかける悟浄の手に止められた悟空はジタバタと足をバタつかせていた。
「死んだら神でも仏でもいるぞ」
「……」
「でもな、それでも俺達はそこに行ってやらねえからな。死ぬのはごめんだ。神も仏もいても、お前の望むことは何一つ手に入らねえよ。」
「……でも…」
「残されるものの事なんざ要らねえよ。お前が…雅がどうしたいか…しっかり考えろ。」
「…一人は…嫌だ……でも…」
「おい、玄奘三蔵…」
「黙れ」
「……ッッ」
「何を言われ、何を吹き込まれたかは知らねえが…お前がそのままそいつらと居るってなら俺は止めやしねえよ。でも…」
そこまで言うと三蔵は膝を付いた。
「お前が…雅が取り戻したいと言うなら、最後にもう一回…助けてやるよ」
「……三蔵…ぉ」
「今ここで死ぬか、自分から目を背けてそいつらと居るか、心を取り戻すのか…どっちにするかは、自分の心で決めろ、雅」
その時、日の光がキラリと三蔵の金糸の髪を透かした。
「三蔵…ぉ…助け…て」
そう雅が呟いた次の瞬間だ。
「……オン マニ ハツメイウン…魔界天上…」
そう唱えるとふわりと三蔵の双肩から経文が浮き上がった。次の瞬間、経文は雅と三蔵を包み込んだ。
「まさか…三蔵!!」
「紅…!!危ない!!」