第23章 揺れる心
「二日前、夜にお前達は四人で動いたのだろう?そのとき雅はどうしていた」
「え……たしか……ってそれが何の関係が…!」
「大事なことだ」
「……夕飯行って……帰ったらいなくなってたんだ!」
そう話ながらの二人を見ながらも八戒達は内容までは聞き取れないでいた。
「何を…話してるんでしょうか…」
「知らん」
チラリと三蔵は雅へと目を向けた。
「おい、孫悟空。」
「なんだよ!」
「少し玄奘三蔵と話をさせてもらう」
そういうと紅孩児は高く飛び上がり三蔵の元へと走り寄る。銃を構えると間合いを詰めた紅孩児の目の前に銃口はピタリと止まった。
「雅が怯えている。それをしまえ」
「指図される謂れはねえよ」
「そう言うな。今雅は術にかかっているだけやも知れん」
「……何を根拠に」
「二日前、玄奘三蔵からの手紙で宿を離れたと八百鼡に話したそうだ。しかし、帰りたくないといきなり言い出した。玄奘三蔵、お前からの『顔を見たくない』と言う伝言を聞いたといってからな」
それを聞いた三蔵は一気に眉間のシワが増えた。
「おい八戒」
「はい?」
「黒いピアスがどうとか言っていたな」
「はい……」
「おい、今あそこにいるのはまだつけてるのか?」
「黒いピアス…あぁ。付いている。」
「……チッ」
そういうとざっと独角兕の後ろにいる雅のもとに歩み寄る三蔵。
「三蔵!!!」
「黙ってろ」
「紅孩児さん…」
「…なんだ」
「なぜ連れてきてくれたのですか?」
「あいつの思惑にはまりたくなかった。それだけだ」
「あいつ…ですか?」
「こっちの話だ」
そう言うと独角兕と雅のもとに紅孩児も加わる。
「おいおい、放っておいて良いのか?八戒」
「大丈夫、といいたいですね。」
「ここから話し…聞こえるか?」
「恐らく。向こう側も近付いてますが…」
そういって会話が聞こえるくらいの距離に七人は揃った。
「紅……」
「チッ……」
「おい、雅。話せ」
そう促されるものの、『伝言』と言われた内容がこびりついていた。
「……あれか」
自身の目で確認した黒いピアスの存在。確かにあれは付けていなかった。
「言っておくが。俺は二度は手を出して何ざやらねぇからな。」
「…ッッ」
「そう言うな、玄奘三蔵」
「貴様は黙っていろ。」