第23章 揺れる心
「おい、紅、一体…」
「おんやぁ?皇子サマ☆」
「……また貴様か…」
「そう連れないこと言わないで欲しいなあ。ちゃんと子猫ちゃん、拾えたみたいだね」
「おい、紅」
「良い子だ。」
「これが一体何になる」
「さぁ?ボクはただ何かのきっかけになるかなぁって思っただけだよ?」
「貴様!!話が違うぞ!」
「何の事かなぁ、最近物忘れがひどくてねえ」
そう言いながらもウサギのぬいぐるみで遊びながら你は歩きだした。
「そうそう、」
「……なんだ」
「目、離しちゃダメだよ?」
「……なんだと?」
「うっかり離して、アレが取れたら、子猫ちゃん、壊れちゃうかも知れないからね?」
ふふふっと意味ありげな笑いを残して你は去っていった。
「紅、どう言うことだ」
「……何を考えてるのか解らんが…あの娘、何かしらの力を持っている。」
「力だと?」
「あぁ。一瞬…感じたんだ。妖力でもない、術でもない…なにかを…」
そう言って紅孩児は手のひらを見つめた。
言っていた通りに翌日の朝には三蔵は出立すると言い出した。
「本当に良いんですか?」
「構わん」
「三蔵の鬼!ハゲ!ろくでなし!」
「後悔すんぞ?」
「うるせえ」
「……三蔵…」
「さっさと出せ」
そういう三蔵の横顔は今までみたことの無い顔だった。いつもよりも広い後部座席。しかし、静かすぎるほどの旅の始まりだった。
「……なんか狭い」
「なに言ってんだ」
「……だって!!すっげぇ……なんかこう……」
「下らねぇこと言ってんじゃねぇよ」
「…三蔵…」
「うるさい」
「………三蔵!!」
「うるせぇよ」
そう言いながらもハリセンはいつも通りに飛んでくることはなかった。
「三蔵…」
「……なんだ」
「雅…待たなくていいのか?」
「待つも何も、ここに帰ることを拒んでるなら仕方ねぇだろうが…」
「……それって…」