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凜恋心【最遊記】

第22章 過去と、価値


そういいながらも八戒は雅を見下ろして、嬉しそうに目を細めた。

「わ…私…?」
「えぇ、少し前に菩薩が来たでしょう?」
「うん」
「その時に『連れていけと言ったのはオレ』と言ったそうですが、どうも僕にはその前から三蔵は連れていく気満々だった様に思えて仕方ないんですよ。」
「…それは…どうなんだろう…」
「雅?」
「三蔵ね…『いつか話す』って言ってくれたの…でもそれが何かは解らなくて…」
「なんでしょうね、」
「解らない…よくよく考えたら私三蔵の事もだけど皆の事よく知らないなって思って…」
「そういわれてみれば、話してませんでしたね…」
「…八戒?」
「あまり気持ちの良いものでも無いと勝手に思っていました。」
「そう…なの?」
「少なくても僕の場合は、ですけど」

そう話し、八戒は伏せ目がちに話し出した。

「僕ね、実は恋人が居るんです。」
「え?」

突然の八戒の告白に雅は驚いた。

「その彼女さん……」
「死んじゃいました」
「……八戒…」
「花喃、僕の双子の姉です。」
「お…姉ちゃん?」
「はい。小さい頃から孤児院で過ごしてきたんです。僕ら。姉弟なんですけど、そんなことはどうでもいいくらい愛してました。そんなある日、妖怪に殺されたんです。いえ、殺したのは花喃自身なんですけど。拉致られて、助けに行った時には既に花喃のお腹には妖怪の子供が宿っていました。追い詰めて、殺された、そう思える理由とでなんかもうどうでも良くなったんです。同時に僕の中の理性なんて弾けちゃったんでしょうね…その殺した妖怪の手下を殺しました。」

淡々と語られる八戒の過去。雅は黙って聞くしかできなかった。
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