第21章 甘蜜月夜
そう言うと三蔵は持ち込んだたばこを一本だし、火を付けた。
「三蔵…」
「なんだ」
「私、三蔵の横顔好きだな」
「何が言いたい」
「そのままだよ?」
「……ハァ」
「でもね……」
そういい雅は巻き付いていた腰から腕をほどき、三蔵の横に座り直す。
「たまにすごく嫌だなって思うの。横顔」
「好きなんじゃねぇのか」
「好きなんだけど……」
そのまま言葉が続かずに、雅は首に巻き付いた。
「ばっ…!あぶねぇだろうが!」
「やっぱ…好き」
「タク…人の話聞いてんのか」
「聞いてる…」
「ハァァ…」
大きなため息を吐いて三蔵は、雅の腕を緩め、一旦離れるるとベッド脇にあるミニテーブルの灰皿にたばこを押し消した。
「さっきから好きだの嫌だの、なんなんだ、一体」
「私も解んない…でも…すごく言いたくなる…」
「信じられるのか…お前は言葉を……」
「三蔵は?信じられない…?」
「…俺は…」
そう言い淀んでしまった三蔵の頬を雅は両手で包み、笑いかけた。
「三蔵が信じてくれるまで私、ずっとずっと…伝えるから良いよ」
「何がいいんだ」
「大丈夫!」
「その自信はどこから来る」
「……ここにある…」
そういうと雅はゆっくりと唇を重ねた。さっきまで吸っていたマルボロの香りが口に移ってきた頃、雅はゆっくりと離れた。
「言葉で信じれないなら、キスなら思い伝わる?」
「……全く…」
「好きだよ、三蔵」
「…俺は、好きじゃねぇよ」
「……三蔵?」
「…愛してる」
そう囁いた直後に、今度は雅の後ろ首に回した三蔵の手が、くいっと引き寄せて深く、甘く、重なりあった。