第20章 李厘の悪戯置き土産?!
「おい、李厘…」
「お兄ちゃん!!」
「全く…何してや……がる……って…」
「この子と引き換えに三蔵に経文もらおうと…」
「そんな姑息な手使うな。」
「姑息って……妖怪いつもあれだけ送り込んできといて良く言うぜ…」
「それより雅です!!」
「そうだった!!」
そうして紅孩児と話して注意が散漫になっている李厘の腕から八戒が雅を奪い取った時だ。
「紅孩児さん、この李厘さんが持っている薬って……」
「薬…?」
「……お…おいら何にも!!」
「見せてみろ」
「……ッッ」
そう言われた李厘は紅孩児に恐る恐る瓶を渡す。見た瞬間にはぁぁ…と大きなため息をついた。
「何なんですか!!それ…!」
「まぁ、焦ることでもない」
「なんですか?」
「…你博士の作った…媚薬だ」
「媚……薬?!」
「博士が無くしたと探していたが……李厘…」
「だって……」
「どういう薬か知ってるのか?李厘」
「あのぅ、お話し中すみませんが、それって……」
「そちらの三蔵が少し苦労するだけだな」
「あらぁ」
「ハァ…迷惑なガキだ…」
「八戒……なんか……体…熱い……」
「とりあえず、博士が作ったものだから、もしかしたら通常より少しばかり質が悪いかも知れんが……今回は李厘を連れて帰るから…」
そう言うが早いか紅孩児は李厘を連れて帰っていった。八戒の腕の中では顔を赤らめてとろんとした様子での雅がいる。
「次の街か村までどのくらいかかる」
「飛ばしたところで夜中になるかと…」
「急ぐぞ」
そうして車に乗せると八戒は急いでジープを出す。前に街を出てからそれ程遠くないところにあるとは言え、既に日は沈みかけていたもののいまの雅にとっては相当しんどいものになっているはずだった。
「なぁ、『びやく』ってそんなにヤバイの?」
「まぁ、子供には必要ないもんだけど……」
「ガキって言うなよ!」
「大丈夫……だょ?……ご…くぅ。ハァハァ」
「すげぇ調子悪そうだぞ?」
「本当に……へっき…ハァハァ…」
「なぁ、八戒!」
「間違っても、雅には触らないであげてくださいね?」
「こんなにしんどそうなのにか?」