第20章 李厘の悪戯置き土産?!
「おい、三蔵、何勝手に雅拉致られてんの?」
「全く…ラチられた覚えもないがな」
「だってどう見ても雅、拉致られて……るのか?」
そう、李厘に体をふわりと持ち上げられていたのは少し前の事。逃げようと思えばいくらでも逃げられる状態になっていることに李厘も雅も気付いていない様子だった。
「もぉぉぉ!!三蔵!経文さえ寄越せばこの子返すって言ってるだろ!!」
「まぁまぁ…」
「なんだよ!大事じゃないのか?!」
「…だったらなんだ」
「ほら見ろ!経文とこの子とどっちが大事なんだよ!」
「比べるもんでもねぇだろうが」
「だったら……!!」
そう言って李厘は誇らしげに一つの瓶を出した。
「これはね……スッゴいヤバイ薬なんだって!飲ませちゃうよ?」
「……ッッ」
「だから李厘ちゃん?そんな事じゃ三蔵揺らがないって…」
「だったら……!!」
そうもう一度言うと李厘は蓋を取り、雅をぐいっと引き寄せ、その口に流し込んだ。
「雅!!」
「チッ……」
しかし、ごくりと喉をならしたその直後だった。風が舞い上がり、紅孩児がやってくる。