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凜恋心【最遊記】

第19章 踊り子雅、誕生


「…に、しても…!!」
「なんですか?」

宿に帰る途中の帰り道で悟空は後ろ向きに歩きながらも、頭の後ろで手を組みながら聞いていた。

「三蔵、いつからいたの?」
「………」
「三蔵?聞いてますよ?」
「うるせぇ…」
「初めっからだよな!」
「黙れ、」
「おんやぁ?図星付かれて怒ってる?」

にやにやと笑う悟浄に、はぁっと頭を抱えそうになる八戒。

「三蔵も、大人になったらいいんですが…」
「テメェ等の中で俺が一番年上だろうが」
「おじいさんってか?」
「誰がだ…ぶっ殺すぞ」
「ちょ……まってよ!!」
「雅?大丈夫か?」
「だって……三蔵のこれ……」
「文句有るか」
「三蔵?少しは察してあげてください?」
「長げぇんだよ。きっと!」
「ま、俺は雅の服だけでも十分だけど?」

宿まで目前と言う時に三蔵は大きくため息を吐き、前髪をくしゃりと搔き上げるとすっと腰を屈め、雅を抱き上げた。

「え…!!三蔵……ちょっと…!私……」
「耳元でぎゃぁぎゃぁ騒ぐんじゃねぇよ」
「下ろして?歩けない訳じゃないし!」
「騒ぐなって言ってんだろうが、落とすぞ」

そういいながらも三蔵の歩幅でスタスタと歩き一足も二足も先に宿に戻っていった。あまりに急な出来事に悟浄始め三人が三人ぽかん……とした様子で三蔵の背中を見送っていた。

「……マジか…」
「驚きましたね、あれはさすがに…」
「三蔵…そんなに裾汚れんの嫌だったのかな…」
「そうじゃねぇと思うけどな?」
「悟浄があんなこというからですよ?」
「なんかやべぇ事言った?」
「衣装だけでいいなんていうから…」
「あ、でもそれ俺も思った!すげぇかわいい!」
「かわいいってことは悟空?みんな雅の事みるでしょう?」
「あぁ!だろうな!」
「だからですよ」
「え?」
「見せたくねぇんだって!うちの生臭坊主は」
「でも…踊ってるときみんなみてたよ?」
「それとこれとはちょっと事情が違うんですよ」
「…ふぅぅぅん、良くわかんねぇけど、三蔵が雅の事独り占めしたいってこと?」
「それだ、それ」

そう話しながらも、皆宿へと戻っていったのだった。
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