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凜恋心【最遊記】

第19章 踊り子雅、誕生


「……もう……遅いよ…」

ポツリと呟くその声は誰にも聞こえなかったものの、さっきまでとはうって変わってキラキラと、溢れんばかりの笑顔が溢れていたのだった。

「なんか…雅さっきと全然違う…」
「ですね…」
「すげぇ…きれいだな…」
「だな」
「三蔵…超もったいねぇ…」
「だよな…」

そう返事をする悟浄と目があった八戒は後方に目配せをする。悟空はステージに見入っている中、悟浄は後ろを見ると苦笑いをしていた。

「素直じゃねぇなぁ…」

そう呟きながらも最後までステージを見ていた。

「……皆さん、本当にありがとうございます。」
「ありがとうございます」
「今回踊ってくれたのは先程姫からも説明有りましたが…不調の姫の代わりに、と旅の途中だった彼女が引き受けてくださいました。彼女に、雅にもう一度大きな拍手を!」

そういう城太郎の声で、皆席は総立ちで拍手が巻き起こっていた。その拍手を背中に受けながらも袖に佩けていく三人。後を追う様に悟空達三人も席を離れてテント側に向かっていった。

「お疲れ!雅!」
「ありがとう!」
「本当にありがとう、雅ちゃん」
「いえ…本当に楽しかったです!」
「それで、考えてくれた?」
「え……考えてって……何?」
「あれ…聞いてなかった?」
「何?」
「城太郎さん、それは…!」
「俺と、俺たちとこれからも一緒に躍り続けようってこと」

その言葉を聞いた三人は驚いていた。

「どういうことだよ!雅!」
「何?どういうこと?」
「俺やだよ?!雅と別れるなんて!」
「君たちには聞いていないんだ。」
「それはお断りしたはずです…城太郎さん!」
「でも、今日、実際に踊ってみて、観客の前で踊って気持ちよくなかった?」
「それは……」
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