第19章 踊り子雅、誕生
「三蔵?居る?」
『入るな』
「え……?」
突然の拒絶だった。雅には全くといって良いほど理由は見つからない。いや、理由はあっても、知られてる訳も無い。仕方なく八戒達の居るところに戻っていった。
「三蔵に…入るなって言われた。」
「あら…雅ですら…拒否かぁ…」
「みんなも?」
「えぇ、実は今日テントであった姫乃さん、が三蔵を訪ねてきたんです。」
その八戒の言葉を聞いて雅の胸はドクンと高鳴った。キスをされて、三蔵に拒絶をされた。そこにはわかりきった答えがあったからだ。
「八戒……私…どうしよう…」
「どうかしたんですか?」
「……ッッ」
しかしながらも、相手が八戒と言えど言えるわけも無かった。
「雅?どうしましたか?」
「…あっ、ごめん。やっぱりなんでもない…」
そう笑顔を取り繕うと、部屋を後にした。雅が出ていった後の部屋に残った三人は顔を見合わせる。
「…何か…あったな」
「えぇ、ありましたね…」
「雅…どうしたんだろ…」
「とりあえず、…どうする?」
「困りましたね、雅も話してくれず、三蔵は論外に部屋に居れてくれない、となると」
「なると?」
「お手上げですね」
「えぇぇぇ、八戒!どうすんの?」
そう話していた。
少し時は戻り…
「失礼するよー!」
「なんなんだ、貴様」
「あれ、ワタシさっき雅ちゃんに挨拶したときにいたんだけど」
「興味ねぇな」
「そう言わないでさ!キミに聞くのが一番かと思って!」
「なんだ」
「彼女、恋人いる?」
「……なんの話だ」
「恋人いないなら、ジョーもワタシも彼女の事狙ってるの」
「……フン…それで、どうして俺に聞く」
「キミが一番あの中で堅物そうだったから。それでも、一番分かりやすそうだったし!」
「あいにくだが分かりやすいと言われたことはないな」
「そうなの?残念!クスクス」
「それはそうと、なんで貴様はここにいる」
「お連れ様に場所聞いて!!そうそう。ワタシ本気で雅ちゃんの事気に入って…キスの相性も悪くないなって…」