第19章 踊り子雅、誕生
「…えっと……姫乃さんって…女性…ですよね?」
「そう!」
「嘘吐け」
「なんで?」
「男性……の裸に見えるんですけど…」
「正確には、女性にめちゃくちゃ憧れてる男。だよね?」
「まぁ、そうなるね。」
「でも…!女性みたいで…」
「やった!雅ちゃん好き!」
そう言うが早いか、そのままの格好で抱きついてきた。
「ちょっ……そういうの……は、困ります」
「そう?あんな男だらけの中の紅一点だから癒し係なのかと思った」
「癒し係……?」
「そう、例えばこういう…」
そう言うと姫乃はくいっと手慣れた手付きで顎を持ち上げて雅の唇に重なるだけのキスを落とした。
「……ッッ…ですから…!」
「違うんだ、なら……ワタシ狙っちゃおうかな…」
「やめとけ、姫。」
「あれ…ジョー…もしかして惚れちゃった?」
「うるせぇ、とにかく姫はもう寝てろ」
「残念!会場の下見とかあるからね。少し帰り遅くなるから!」
無邪気な笑顔を残して、テントを後にした姫乃。どうしていいか解らないまま雅はうつ向いている。
「ごめんな…雅さん…」
「……いえ…」
「もし嫌なら、断ってくれて構わないよ?ただ…こんなこと言うのもおかしいけど、姫も悪気がある訳じゃないんだ…」
「……そうです…よね…」
「とりあえず、今日はもう宿に帰ると良い。明日また来てくれる?」
そう言われて雅は宿へと戻ることにした。
「おっかえりー!!」
「大分練習していたんですね」
「みんな…遅くなってごめんね?」
「いんや、大丈夫だけど……」
「けど…どうしたの?」
「いえ…ね?三蔵が…」
「三蔵…?」
訳が解らないまま三蔵の部屋を訪れた雅。