第19章 踊り子雅、誕生
「はじめまして、姫乃って言います。足捻挫しちゃって……イベントは待ってくれないし……どうしようかって困って……」
「そうだったんですね…」
「こちら、雅さん。後ろの方は一緒に旅してらっしゃる方。」
「そうなんですね、すみません無理いって」
「まだやると決めたわけではない」
「え、そうなの?」
「そうなんです…私踊れるか解らないし…」
「踊るって言っても、ジョーの弾く音に合わせて体をその時のイメージで動かしてるだけだよ?」
「そうは言っても……」
「試しにやってみる?」
そう話している間に城太郎は楽器の準備をしている。そうして調律を始めた。
「まずはジョーの音、聞いてみて?」
そういわれ、座るときれいな音が流れてくる。弾き終わると城太郎は雅の前にやって来た。
「どう?こんな感じなんだけど…」
「私…やってみたい!」
「…だそうだ、三蔵」
「好きにしろ」
そういうなり三蔵は一足先にテントをあとにする。後の三人も『雅の事お願いします』と頼んで三蔵の後をおって出ていった。そうこうして嬉しそうに始め出した雅。最初は恥ずかしさもあったものの、大分慣れてくると大きく体を使うことができるようになってきた。
「そろそろ休憩にしますか?」
「いえ…!ようやく解ってきたので…」
「クス…無理しないでくださいね?」
「はい!……あの…」
「なんですか?」
「姫乃さんって……」
「あぁ、姫?……姫!呼んでる!」
「何?」
そうして目の前にやって来たのは上半身裸になっている姫乃その人だった。しかし、姫乃の胸元にあるべき膨らみがない。