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凜恋心【最遊記】

第18章 予期せぬ訪問者


「じゃぁ、私キッチン借りてくるね!」
「気を付けてくださいね?」

皆に伝えて、雅は買ってきたばかりの材料を持ってキッチンへと向かっていった。部屋に残された四人は顔を見合わせて話している。

「でも菩薩が来るとは…」
「考えても居なかったですね…」
「俺のところにはいつになくしょっちゅう来やがるぜ」
「でも、僕三蔵の一目惚れで雅の事連れて行くっていってるのかと思ってました。」
「おいおい…」
「あ、悟浄には耳の痛い話ですか?」
「それはそうと、本当のところどうな訳?三蔵」
「確かにあの村に着いた次の日にだったかな、来て『連れていけ』とは言っていたな」
「そうでしたか」
「まぁ、あいつにしたら単なる高みの見物で面白がってるだけなんだろうがな」
「相手は仮にも菩薩でしょう?」
「知るか」

開けたばかりのたばこを咥え、火を付ける三蔵。ふぅっと煙を吹き上げた。

「悠長にたばこ吸ってる場合かよ」
「そうですよ、三蔵」
「何でだ」
「そうそ、なんで?」
「悟空?菩薩に雅が目を付けられたとしたら、もしかしたら菩薩にさらわれてしまうかも知れません」
「ちょっ!!だめじゃんか!なのになんで雅一人にしてんだよ!俺見てくる!!」

そういうが早いか、悟空は部屋を飛び出していった。それを見て三蔵はゆっくりと話し始める。

「悟空を払ってまで、何が言いたい」
「そのままです。もし、菩薩が雅の事をどうにかしようと考えているのだとしたら…僕としても少し困ります。」
「八戒が困るって…」
「三蔵の安定剤が無くなったり、僕の仕事の負担がまた元に戻って増えたり、ですよ」
「あらー」
「冗談言ってんじゃねぇよ」
「でも、もし本当に八戒が言うように菩薩が雅連れてったり消そうとしたりしてたら三蔵、どうすんの?」
「そんなの決まってるだろうが」

ふぅっと大きく息を吐き、出てきたばかりの月を見上げて三蔵は答えた。

「菩薩だろうとなんだろうとしったこっちゃねぇ、ぶっ飛ばす」
「…クスクス、三蔵らしいと言えばらしい答えですね」
「そこまで来ると、もう、俺も何も言えねぇー」
「まだ何か言いたかったのか」
「……いえ…」

小さく笑いながらも八戒は本当に似た者同士の二人の姿を見ていた。
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