第18章 予期せぬ訪問者
「あの……大声だしますよ?」
「まぁそう警戒するなって、金蟬…三蔵には聞いてないか?」
「…三蔵…?えと…」
「その様子じゃ聞いてねぇみてぇだな、オレは菩薩。観世音菩薩だ。三蔵にしてみたら遠い親戚みたいなもんだ。」
「……そんな話し聞いたこと無いです…」
「ハハハ、あいつならそうだろうな。」
「あ…三蔵さんに会いに来たなら今出掛けてて…」
「知ってる。その隙に会いに来たんだから。」
「会いにって…」
「もちろんお前に」
そういい、にっと口角を上げる菩薩。
「あ…すみません、私、花洛雅って言います。」
「知ってるって。」
「三蔵さんはそんなこ『さんは要らねぇ』…え?」
「いつも通り三蔵でいい」
「でも…」
「オレがいいって言ってんだからいいんだよ」
この雰囲気、この口調、この俺様っぷり……まさに三蔵に良く似ている。もっと言うなれば、細く垂れた目元までもそっくりだった。
「あいつは…三蔵は優しいか?」
「え…?」
そういうと菩薩は雅の頬にそっと触れた。そのまま耳元に顔を近付けるとそっと囁くように呟く。
「あいつは、悟空や雅の光になってるだろうが、あいつにとっての光でいてやってくれ、雅。」
「あの……」
「連れていけと言ったのはオレだけどな、雅をそばに置きたいと言うのは間違いなくあいつの心だ。」
そういうが早いか頬にキスをして、またなと残して菩薩は雅の前から姿を消した。
「……ぇ…今…キスされた…?」
そう思うとぼんっと顔は熱くなり、さらには悟浄との殴り合いがあった昨夜の事がよみがえる。
「もぉ…私…だめかも…」
そう呟くや否や、はっと気付き急いで商店街に戻っていった。
「雅!おっそぉい!!」
「ごめんなさい…変な人に捕まって…」
「変な人?」
四人の視線が一斉に雅へと集まる。そんな空気の中、八戒は雅に問うた。