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凜恋心【最遊記】

第17章 剥き出しの感情


そういうだけ言って薬やガーゼのの入った袋を抱え込んでいる悟空の腕からひょいっと取ると、悟浄は部屋を後にした。

「なぁ八戒…行かせて大丈夫?」
「まぁ…なんとかなると信じましょうか…」

そういって後を追うことはしなかった。

コンコン

「入るぞ?」
「…今度はなんだ…」
「三蔵じゃねぇよ、雅に…」
「断る」
「…ってなんで三蔵に言われなきゃなんねぇんだよ。ほら…これ」
「え?」
「八戒から。」
「ならなぜ八戒が持ってこない」
「さぁな、知ーらね」
「あ……ありがとう…」

袋の中身を見た雅は嬉しそうに悟浄に礼を言っていた。

「なぁ…雅」
「なに?」
「さっきは…その、悪かった。」
「?何の事?私忘れちゃった」
「……三蔵も…悪かったな」
「…何の事だ」
「二人揃って…全く…」

そういって悟浄はすっきりとした様子で扉に向かった。

「おい」
「んぁ?なに?三蔵」
「……」
「なんだよ!」
「…今回は雅に免じて忘れてやるよ」
「三蔵…」
「フン…」

そういうだけ言ってふいっと顔を背けた三蔵とフッと口許が緩みながらも笑いながら部屋を出ていった。

「悟浄が持ってきてくれた薬、付けよ?」
「…はぁ…」

そういいながらも雅は薬をあけ、ガーゼに付け傷口をおおった。

「…ありがと、三蔵」
「うるせぇよ」
「…クス…」

そんな雅もまた小さく笑っていたのだった。
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