第16章 所有物
「抱こうとか、キスしようとか…変な真似事考えてんじゃねぇぞ?」
「…さんぞ…ッッ」
言うだけ言ってスルッと腕を離すと何事も無かったかの様に宿の出入り口へと向かった。
「あっ!来た来た!三蔵遅い!!」
「あれ…悟浄は?」
「さぁな…直に来るだろ」
「私…ちょっと様子見てくる」
そう言って雅は部屋の方に向かっていった。少し行ったところでくるりと向きを変えると、『先に行ってて!!すぐ追い付く!!』と言って手を降っていた。
「悟浄…?悟浄ぉ!?」
扉の前に座り込んでいる悟浄を見つけた雅は一緒になって座り込んだ。
「大丈夫?悟浄…調子悪い?」
「…雅」
「ん?何?」
プツン…と悟浄の中の何かが切れた。腕を引き、部屋に引き込むと思いっきり抱き締めた。
「ちょっ…悟浄…苦しい…」
「好きだ…雅…」
「え?」
「俺…マジだよ……」
「…ちょっと……まって…」
「ごめん…もう無理だわ…」
そういうとそのまま床に押し倒し、首筋を骨張った指が這う。
「三蔵に…どうやって愛された?」
「ちょ…悟浄…!」
「それとも…まだ未遂?」
「……ン…!やめて…!!」
「俺にしとけよ…」
「や…!!さんぞ…!!」
そう名前を呼び掛けたときだった。ノックと同時に八戒が入ってきた。
「悟浄!!」
「……ッ…」
「何やってるんですか…」
「……」
「こんなことして…」
八戒に引き離された悟浄と雅。はぁっと大きなため息を吐いて雅には三蔵達の元に行く様促し、悟浄は八戒と共にその場に残ることにした。