第2章 旅立ち
「雅が、妹が居るんですが…ちょっと訳アリでして…すみません」
「すげぇ良い奴なのに…」
「……はい」
「皆さんにそう言って貰えること、妹が知ったら喜ぶでしょうね」
そう呟いて翠藍も席を立つ。
「…なぁ三蔵…」
「却下」
「俺まだ何にも言ってねぇだろ!?」
「聞かなくても解る。」
「三蔵の解らずや!…ごちそうさま!」
そうして珍しく悟空が一番始めに食事の席を立って部屋に戻る。
「三蔵…?少しは聞いてやっても良いんじゃねぇの?」
「無理矢理連れていく気はねぇよ」
「…ちょっ!それって…」
「俺や悟空や、お前達にも説得なんざさせねぇ。あいつが自分の意思で来たいといわなけりゃ仕方ねぇだろうが。」
そう言いながらふぅっとタバコをふかす。表情一つ変えずに言いきる三蔵を見て悟浄は、くはっと笑った。
「そうならそうと言ってやればぁ?あの猿に」
「断る」
「あいかわらず難くなだぁこと。」
そう笑い合いながらも母親が来れば自然と話題は変わる。そして夜も更け、いざ、出発となる朝になった。
「さて、じゃぁいきますか。」
「そうだな」
「………あ、待って三蔵!」
そう言い人混みの中から雅を見つけた悟空は走りよった。
「雅!!俺、何にも出来なかった…」
「良いんだよ、悟空さん。」
「ちょっと来て!」
そう言い手を引くとジープの姿に変えた白竜の元に集まる三人の前に連れてきた。その姿を見た母親は顔色が変わる。