第9章 キスから✿保科宗四郎✿
「ふっ、うぅ…なんで……っ、保科さんのばかぁ…うっ、あ……。」
「え、ちょ…泣かんで。泣かせるつもりはなかったんや。君に泣かれたらどうしてええかわからん。」
泣くなと頭を撫でられてもそんなのは逆効果で、苦しくなって余計ぽろぽろと涙が零れてくる。
どうしたら泣き止むん?と引き寄せられて、頭を抱えて撫でる彼の胸を濡らした。
「美影、ごめん。」
「え?」
顎を持たれて顔を上げられると、拒んでいた唇は簡単に重なった。
すぐに離れて泣き止んだ?と笑った彼を見て、またぼろぼろと涙が零れてくる。
好きだって言ったのに振り回さないで…。
「ひっ…どっ、ち、なんですか…っ、ぅあっ…!」
「……好きな子としかしたない。」
わけがわからなくて保科さんを見つめたまま涙が止まらない。
「僕、助けた子のことつけ回したりなんかせぇへんよ。下心あったら別やけどな。」
あ、いや、ごめん…と吃りながら俯く彼を首を傾げながら見つめた。
俯いているかと思ったらいきなり顔を上げて、その瞳で真っ直ぐ見つめてくる。
顔、真っ赤…。
「いつ死ぬかわからへんから、彼女なんて作る気なかったんや。やから、誰でもええ思て…それなんに、君が好きとか言うから……抑えられんくなるやん。美影のこと好きなんの…。」
驚いて引っ込んだ涙を見た保科さんは、泣き止んだ!と笑った。
「初めて会うた時から美影が好きや。僕のお嫁さんなって。」
……お嫁さん!?待って…お嫁さん!?
いきなりお嫁さんなってと言われて驚かない人はいないだろう。
「そんくらい本気なんや、君のこと…。」
「あ…はい……私も好きです。」
思わずプロポーズを受け入れてしまい、どうしようかと思ったが何も言わなかった。
私も保科さんが本気で好きだから。
未だに頬が赤い保科さんは嬉しそうに笑いながら唇を撫でて、愛しとると呟きキスをした。
「ほんなら、式場探さんとな!あ、指輪もや!僕ん家で一緒に探そ!」
笑顔でスマホを掲げた彼に驚いて何も言えなかった。
はい、以外は……。
____________....end.