第8章 年下幼馴染はご乱心✿保科宗四郎✿
「ほんで、なんでしたんや?ちゃんと言ぃや。」
ぷいっと顔を逸らし、右斜め上を見た。
宗四郎くん…副隊長は先程第3に異動してきたばかりの私を問い詰め、何も答えない私に頭を抱えている。
第6で問題を起こし、理由も話さない私を上は第3へと移した。
恐らく調べたんだろう、保科宗四郎がいる第3に移せばなんとかなるかもしれないと。
宗四郎くんには特に言えるわけもないのに。
「三浦?」
「……。」
「はぁ……美影ちゃん、なんでしたんや?怒ったりせぇへんから、僕に言うてみ?」
絶対に言うもんか、それで除隊になったとしても言わない。
子供扱いをしてくる彼を無視して執務室を出ようとすると腕を掴まれて、下から睨んでくる。
「おい、三浦…上官の言うことはちゃんと聞かんかい。」
怒った…昔から宗四郎くんはよく怒る。どうせ私のことが嫌いだからでしょ。
あの時もそうだった。
宗一郎くんと宗四郎くんを比べて彼を蔑んだ大人たちに殴りかかった。
その時も理由は話さなかったから、大人たちには叱られたし、宗四郎くんにも怒られた。
それから私が何かするとすぐに怒り、酷い時は怒鳴られる。
それでも、彼は私を見放すことはなかった。
いつしか私は宗四郎くんに恋をしていた。
だけど、大人の仲間入りをしたというのに何時までも子供っぽい私のことを、彼はそういう対象には見ることはないだろう。