第35章 冷たさの中の熱✿保科宗四郎✿裏
パーカーの前を押さえながら扉を開けると、ちゃんと副隊長がいた。本当に私の家に来たんだ。ずっと来てくれなかったのに。まぁどうせ、仕事の用だろうけど。
私の姿を見た副隊長は頬に触れ、そのまま後頭部に回し、抱き寄せた。なんでいきなりこんな……副隊長の乱した息が首にかかる。本当に急がなきゃいけないことなのだろう。でもどうして…電話に出なくても、家に来たらよかったのに。
「…入ってもええ?たぶん入ったら――君を抱くと思うけど」
鼓動の音が耳に響く。そんな言い方ずるいと思う。だって、部屋に入れたら、"いいよ"って言ってることになる。また私に恥ずかしいことさせるの?
それでも足は勝手に下がり、副隊長は私が後退る度に近付いて、距離はゼロのまま。必死に手を伸ばしてドアノブを掴む。副隊長が完全に玄関に入ったのを確認して扉を閉め、鍵をかけた。
「あの、副隊長……少し離して欲しいです…部屋、行きませんか?」
「……宗四郎言うてたやん」
「すみません…寝ぼけてて、許してください」
副隊長は「ちゃう」と首を振った。少しずり落ちたパーカーが肩を出し、副隊長が首を振る度、唇か何かが擦れた。
「宗四郎呼んでええで。……呼んで」
「え……あ、はい…」
「敬語もいらん。恋人やもん。あと……戻ってきてや」
戻ってきてって…隊に?"実力の向上が見込めない為"って理由を聞かされたはず……それなのに戻って欲しいの?
「恋人だったんですか」
抱き締める力が強くなって、もっと距離が縮まる。副隊長の胸板に潰されそう…。
このままだと窒息してしまいそうなので、なんとか離してもらい、部屋に上がった。