第35章 冷たさの中の熱✿保科宗四郎✿裏
スマホが着信を知らせた。知らない番号…電源ボタンを押した。次、またかかってきたら出よう。どうせあの人ではない。私のことなんてどうでもいいはず。このまま永遠にサヨナラだ。
少し昼寝でもしようと目を閉じた。最近はよく眠れる。何も考えなくていいのは、こんなにも楽なんだ。
寝ていると、何度か着信に起こされたが、眠くて無視していた。急用なのだろうか…寝ぼけたままスマホを取り、応答をスライドする。
「はい……」
「やっと出てくれた……保科やけど、今家おる?行ってもええ?」
保科?あぁ…大好きな声。「んー」と寝起きの回らない頭で返事をする。ずっとこのまま、声を聞いていたい。
「すき…そうしろう……」
「ははっ、寝とった?起こしてすまんな。今行くから起きとってくれん?」
「ん」と短く返事をし、声が聞こえなくなってスマホを置いた。ボーッと一点を見つめたまま、どうしたんだろうと考えてから、一気に頭が晴れる。私、なに言ってんの?でも…怒られなかった。
自身の頬を押さえて、熱を覚まそうとする。私の家は結構、基地に近いので、すぐ来てしまう。シャワーを浴びる時間はない。早く整えないと…。
それにしても……副隊長が私に電話なんて…しかも家まで来る。本当に急ぎの用だったのだろうか…無視していてごめんなさい…。
急いで顔を洗い歯を磨いて、髪を整える。髪、結った方がいいかな?いつも後ろにひとつで束ねているけど…家にいるからいいかな?
そうだ、服も着替えなければ…さすがにこの格好は恥ずかし過ぎる。ブラなしキャミソールに、ショートパンツ。でも着替えようとするとインターホンが鳴って、慌てて大きめのパーカーを着て玄関へ向かった。