第35章 冷たさの中の熱✿保科宗四郎✿裏
私はその後、引き継ぎを終わらせ有休も消化し終わり、もう防衛隊員ではなくなった。
副隊長は私を呼んでいたのかは知らない。基地にいる数時間しか通信機をつけていなかったから。副隊長は私の連絡先を知らない。副隊長なので、連絡先を知ることは出来るだろうけど、私はもう部下じゃない。
次の仕事先をゆっくり探しながら、無職を楽しむ。ほとんど使っていなかったから、貯金は私の歳では多い方だと思う。
「宗四郎……」
ずっと呼んでみたかった名前。でも一度も呼ばせてはもらえなかった。私の名前すら、呼んでもらったことはない。いつも苗字でしか呼ばれなかった。
名前を口にするだけで心が震える。どうしようもなく好きで…私の全てで……たぶん、私の彼氏だった人。いつからそうじゃなくなったんだろう。今も彼氏のままなのだろうか。何も持たない私には、その答えはわからなかった。
ベッドの上で大の字になり、天井を見つめる。もう、楽になれるよね…?彼の姿を振り払うように目を瞑った。
久しぶりに、ちゃんと眠れるだろうか__。