第35章 冷たさの中の熱✿保科宗四郎✿裏
次の日、隊長室へ赴き、亜白隊長に封筒を渡す。亜白隊長は頷き、山積みの書類の処理を始めた。頭を下げて、隊長室を出る。
退職まで貯まっていた有休を使うことにした。もちろん、引き継ぎ等で基地には来ないといけない。でもそれだけ。他は何もしなくていい。副隊長にも会わなくていい。
冷えきった身体を摩ることもせず、廊下を歩く。別に寒くもないのに、なんだか冷たい感じがするんだ。幸せだと思っていた日々は、こんなにも冷たかった。
「今日はひとりなんだ。副隊長の金魚のフンしてねぇんだな」
そんないつも一緒にいるわけではないのに……廊下の角から来た人たちに目を向ける。
「はい」
それだけ。それ以上を答えたら、生意気だと怒られるだろう。何も変わらない今日を淡々と過ごす。そう決めていた。だから、いつもと違うことはしない。
もう慣れたけど、中傷されることが、暴力を振るわれるよりも辛かった。どうせなら、殴って欲しかった。副隊長といても、妬まれることはしていない。ただの凌辱に近かった。
やっといなくなったので、私は資料室で引継書を作成し、家に帰った。明日は口頭で伝えないと…。