• テキストサイズ

魅惑の恋【短編集】

第35章 冷たさの中の熱✿保科宗四郎✿裏


次の日、隊長室へ赴き、亜白隊長に封筒を渡す。亜白隊長は頷き、山積みの書類の処理を始めた。頭を下げて、隊長室を出る。

退職まで貯まっていた有休を使うことにした。もちろん、引き継ぎ等で基地には来ないといけない。でもそれだけ。他は何もしなくていい。副隊長にも会わなくていい。

冷えきった身体を摩ることもせず、廊下を歩く。別に寒くもないのに、なんだか冷たい感じがするんだ。幸せだと思っていた日々は、こんなにも冷たかった。

「今日はひとりなんだ。副隊長の金魚のフンしてねぇんだな」

そんないつも一緒にいるわけではないのに……廊下の角から来た人たちに目を向ける。

「はい」

それだけ。それ以上を答えたら、生意気だと怒られるだろう。何も変わらない今日を淡々と過ごす。そう決めていた。だから、いつもと違うことはしない。

もう慣れたけど、中傷されることが、暴力を振るわれるよりも辛かった。どうせなら、殴って欲しかった。副隊長といても、妬まれることはしていない。ただの凌辱に近かった。

やっといなくなったので、私は資料室で引継書を作成し、家に帰った。明日は口頭で伝えないと…。
/ 387ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp