第32章 Changing Love✿保科宗四郎✿裏
寝室に入った瞬間、宗四郎は焦り出す。どうしたのだろうと首を傾げた。やっぱり嫌かな?と不安ばかりが募る。
「あかん……ゴムない…」
「あ…いいよ、つけなくても」
「あかんて…さすがにつけな……僕…「宗四郎」なに?」
大切してくれているのはわかる。でも私は、宗四郎ならつけなくてもいいと本気で思っている。
「結婚してくれる?私と…結婚して」
キョトンと口を開けて固まる宗四郎。悠稀を失った今、宗四郎以外に結婚したいと思えるとは、思えなかった。宗四郎になら全てを預けられる。だけど、償いのような形でされるのは嫌だ。これからも、二人で生きていこうという、支え合いの延長のようなもの。
宗四郎の答えを待つようにただジッと、その、見開かれた赤紫の瞳を見つめた。
「……け、結婚したら、今みたいにえっちすんで?ちゅーもぎゅーもする。ええの?僕にちゃんと"好き"言える?」
まさかの、えっちとかちゅーとかぎゅーは可愛すぎた。吹き出すように笑って、「好きだよ」と涙を拭いながら見上げた。
「えっちも、ちゅーもぎゅーもする。宗四郎が好き。これからも支え合って生きたい。まあ、支えられてるかわかんないけど…」
「ん…僕も好き。美影はずっと、僕を支えてくれとった。傷の舐め合いなんかやない。愛しとる」
どうして宗四郎が私を好きになってくれたかはわからない。その言葉が本当の気持ちなのかもわからない。ただ…宗四郎が結婚してもいいと思えるなら、それだけでいい気がしていた。