第32章 Changing Love✿保科宗四郎✿裏
「美影ー!こっちや!」
悠稀の一周忌から1ヶ月程過ぎた。副隊長は私を名前で呼ぶようになり、また私も、勤務時間外は宗四郎と呼ぶ。悠稀の存在が、私たちをほんの少しだけ前に進めた。
隊員任命式が始まる。今年の新入隊員は粒揃いのようだ。あの、四ノ宮長官のご息女まで第3部隊に入隊となった。
小隊長となった私は副隊長の隣に腰を下ろし、式が始まるのを待っていた。それにしても…いつ着ても、この礼服は慣れないな…スカートが短く、太腿が出ている。
式が終わる頃、副隊長が採ったという男性が式場に入ってくる。候補生として副隊長の小隊で鍛える、正直、羨ましい。副隊長から直々に鍛えてもらえるなんて、なかなかない。
式が終わると宗四郎に連れられて屋上へ行く。よくここで、3人で話していた。私と宗四郎と…悠稀で。懐かしい思い出に想いを馳せる。あんなにも大切で濃い時間が、懐かしいと思えるようになった。
「美影、僕な…礼服の女性隊員とするん夢だったんや。まあ、夢のままで終わりそうやけどな」
「いきなり何言ってるの…」
突拍子もない宗四郎の発言に呆れる。宗四郎は笑っていた。だから私も笑った。ここで流した涙も、響かせた笑い声も、何もかもがここに詰まっていて、何かが足りないと思いながらも、私たちはただ笑い合った。