第4章 ゲーマー彼氏の攻略法✿鳴海弦✿裏
隊長室に向かう足が速くなる。
やっと彼に上官と部下としてではなく、個人的に呼ばれたのだ。
忙しくてなかなか2人の時間が取れず、仕事がない時はゲームをしていて構ってくれない。
付き合って2ヶ月、彼とはキスすらしたことはない。
声をかけて隊長室の中に入ると彼はゲームをしていて、私を気にする様子はない。
告白したのは私。
現代最強を誇る彼への気持ちが憧れから恋愛感情に変わるのに、そんな時間はかからなかった。
スマホを弄ることもなく話しかけることもしないで、4時間じっとしていた私を褒めて欲しい。
彼の隣にいれるのは嬉しいが、ここまで放置されてはさすがの私も限界を迎える。
「鳴海隊長、まだゲームをしてるなら、もう戻ってもいいですか?」
彼は一言も発さずゲームを目を離さず、いきなり私を引き寄せて小脇に抱えた。
ち、近い…。
これは行くなということなのか?
それから1時間程小脇に抱えられたまま鼓動が伝わらないように必死に耐えていたら、コントローラーを置いたので顔を上げるとゲームを映していた画面はパチンっと消えた。
電気もつけていなかったので部屋が真っ暗だ。
私から手を離し彼が近くからいなくなる気配がしてじっとしていると部屋が明るくなる。
だがすぐに薄暗くなり、鳴海隊長はそのまま私の隣に戻ってきた。
「もっとこっちだ。」
腕を掴まれて引き寄せられて、布団の上にいる彼の膝の上にうつ伏せで倒れた。
むぎゅうと胸が彼の太腿に押し付ける形になって慌てて起き上がると、頬に手を添えて見つめられる。
初めての恋人らしい雰囲気で心臓が爆発しそうだ。
「ふっ、顔が真っ赤だぞ……可愛いな。」
鳴海隊長に可愛いなんて言われたのは初めてで、余計顔が熱くなってしまう。
彼が私のことが好きなのかはわからない。
告白は受け入れてくれたが好きと言われたことはない。
なにより、私よりもゲームを優先する彼がそれほど私を好きなってくれているとは思えないのだ。
一緒にいた時間も少ない。