第29章 花を散らす✿市川レノ✿裏
高校1年生の時に市川レノと出会い、私たちはすぐに惹かれ合って恋人になった。しかし、現在は彼は国を守るために防衛隊員として日々奮闘している。入隊試験を経て1年が経ち、ますます忙しくなったレノとはなかなか会う機会がない。彼とはまだ身体を重ねたことはないが、そのことはお互い理解し、いつかは…ということになっている。
そんな時、レノから連絡が来て、夜どっか食べに行こうとお誘いを受けた。嬉しくて舞い上がってしまい、講義中だというのに叫んでしまうとお叱りを受けてしまった。謝りながら肩身を狭くし、こそこそと返事を打つ。どうやら今年の入隊試験が終わったらしく、少しだけ忙しさが緩和されるようだ。明日が非番だということも知らされた。
講義が終わり、急いで家に帰る。いっぱいおしゃれしなきゃ…しかもお泊まりかもしれない。期待を込めて新しい下着をつけていこう。シャワーを浴びて服を選んだり、メイクをしたりヘアセットをしたり…いつもは面倒臭いことも、レノの前では可愛くありたいと思う女の子らしい自分が顔を出す。
「レノ、可愛いって言ってくれるかな…」
レノは真面目で素直で、思ったことは結構はっきり言う方だ。そんなレノに可愛いと言われれば、本心なのだとわかり、嬉しすぎてどうしようもない。しかもレノは会う度に言ってくれる。だからいつも頑張ろうと思えるし、苦なんて思わない。レノが可愛いって言っても周りが納得出来る程可愛くいたい。