第26章 虚虚実実✿保科宗四郎✿裏
「僕ら終わりやな。ほな、お元気で」
なんの感情も見せずに背中を向けて去っていく狂おしい程愛した人を見つめる。副隊長と小隊長となった私たちの現状は、仕事で顔を合わせるだけの忙しい日々。仕事のストレス、眠れていないことへのストレス、疲れていて愛し合う時間すらない。お互いがお互いの感情をぶつけ合い、思わず嫌いと呟いてしまった私への答え。
違う、こんなことが言いたかったわけじゃない。ただもう少し、2人だけの時間が欲しかった。私よりも忙しい彼の感じているプレッシャーやストレスを考えることも出来なかった。出てくる言葉は彼を避難するものばかり…愛しているのに…。
胸に渦巻く後悔を振り払うように、鳴り響いた警報音に意識を向けた。