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短編集【怪獣8号:保科宗四郎 他】

第1章 とある1週間✿保科宗四郎✿あの日〜番外編


急いでご飯やお風呂を済ませ、布団に潜り込んだ。


キコルちゃんたちに声をかけられたが、大丈夫と答えてメッセージアプリを開く。

彼との履歴は私が謝罪のメッセージを送ってから止まっている。

上官と部下としてではなく、ただの宗四郎さんと美影で会いたい…。


彼との情事を思い出し、落ち着いていた疼きがぶり返す。

部屋から出て、寮から離れた庁舎の端のトイレに駆け込む。

たぶんここなら、誰も来ないだろう。


そっと下着の中に手を入れた。

でもすぐに虚しくなって手を引き抜く。


少し落ち着くまで夜風にあたってようと、手を洗って屋上を目指す。


屋上の手摺りに肘を置きボーッと夜を灯す光を眺めていると、勝手に涙が零れてきて腕を濡らした。


「好きって言いたい……宗四郎さん…宗四郎さんっ、そっしろさんっ…!ぁう…うぅ……。」


腕に顔をつけて蹲る。

何度も何度も彼の名を呟きながら、嗚咽を漏らす。


「そんな呼ばんでも、ここにおるで。」


っ!?

驚いて振り向くと、何度も名前を呼んでいた彼がいる。


どうして声かけたの…?
許してくれていないなら、無視していなくなったらいいのに…。


すぐに彼に背を向けて涙を拭う。

どうやら彼は、泣かれるのが嫌らしい。
これ以上嫌われたくないから、彼の前では泣かないようにしよう。


涙が零れてこないように、一度深呼吸して落ち着かせ、また振り向いた。


「お疲れ様です、副隊長。」


敬礼をして少し上を向く。


「ええよ、勤務時間外や。」


なんでそんなに優しい声で話してくれるの?
さっきまであんなに冷たかったくせに…。


「早う寝ろよ。」


はいと返事をするとすぐに彼はいなくなった。

追いかけたい…でもまた鬱陶しいなんて言われたら、泣いてしまう。


その後は少し資料室で勉強してから眠った。

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