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魅惑の恋【保科宗四郎多めごちゃ混ぜ短編集】

第13章 永遠の人✿うちはイタチ✿裏


『お兄ちゃん、どこに行くの…?』


黒髪の男性は何も答えず、私に背を向けて遠ざかっていく。


「行かないで……はっ!」


夢……昔よく一緒に遊んでくれていたお兄ちゃん。

大好きだった"お兄ちゃん"。私やサスケくんを置いていった大嫌いな"うちはイタチ"。

どちらも同じ人物だ。

お兄ちゃんと呼んでいたが、私の兄ではない。
私よりも2歳下のサスケくんの兄だ。


私はうちはではない。忍の一族でもなければ、両親が忍というわけでもない。

それでも私はお兄ちゃんに教えてもらった術で上忍にまで上り詰めた。


いつかお兄ちゃんに教えてもらった火の意志を胸に今、うちはイタチを殺す。


いつの間にか任務の休憩中にうたた寝をしてしまい、昔のことに思いを馳せていると、目の前にうちはイタチが現れたのだ。

何故、私の前に現れたのかはわからない。


クナイを持って臨戦態勢に入った私を、武器を持つのでもなく、写輪眼を使うのでもなく、ただ見つめていた。


「美影、大きくなったな……何も聞かずについてきてくれ。」


「おにぃ……なんの為に?」


聞くなと言われて腰を低くした。

ここで大好きなお兄ちゃんを終わらせる、それがうちはイタチという男を愛した私の責任だと思うから。


「お前と戦う気はない。俺はもうすぐ死ぬ…だから、俺の願いを聞いてくれ。」


ついていくのが願い?


「一族を皆殺しにし里を抜け、暁に入った人の願いを誰が聞くの?」


心のどこかでお兄ちゃんは違う、やっていない、本当のことだとしても何かすごく大きな理由があったのだと思っている。

だけど、犯罪者で登録されている以上、私はやらなければいけない。


「頼む、美影…お前でなければならない。」


悲しげに歪んだ顔に気を取られ、うちはイタチの姿は烏に変わり消えた。

…と思ったら、目の前に現れる。


すぐにクナイで攻撃をしようとしたがその腕は掴まれ、真っ黒な瞳には私が映っていた。

その瞳は閉じられ重なった唇に理解が追いつかない。


「お前に俺の全てを知って欲しい。一人でそれを抱えてもらうことになるが……それと、お前に俺が生きた証を刻みつけたい。」


うちはイタチの全て…?生きた証を刻みつける?

言っていることがわからない。

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