第11章 あなたの心、私の全て✿保科宗四郎✿裏
トイレに駆け込みブラを直して下を拭いてから出ると、亜白隊長に出会した。
「三浦、どうした。顔が赤いぞ。熱でもあるのか?」
「副隊長に……。」
言えるはずないあんなこと。
副隊長がどうなるかわからないし、私は胸だけとも言ってなかった。
「っ!ついに保科と…!おめでとう、よかったな。」
「え?」
なんでそんな嬉しそうに笑っておられるのですか。
振られておめでとう?嫌味?
いや、亜白隊長はそんなことするお方ではない。
「みんな、お前らがいつくっつくのかとやきもきしていてな。」
記念だとパシャパシャと写真を撮られた。
それより、どういうことだ?私たちが?
想っているのは私だけで……そうか、胸を見ていたとか言っていた、そのせいで勘違いされているのだろう。
「喜ばしいことだが、うつつを抜かさず訓練に励むようにな。」
「了!」
そうだ、あんなことをしてしまったとしても、気にしている場合ではない、私は防衛隊員なのだから。
小さいはずなのにたくさんのものを背負っている凛々しい背中を見送り、訓練へと向かう。
激しい訓練を行い、全てを忘れよう。