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オウムの恩返し

第16章 オウムの恩返し


 とオウムちゃんが指した方向は、きおきお島の裏手、オオカミ神社の手前くらいのところだった。そこには、おんりーちゃんのイタズラできおきお像があり、きおきおさんの仕返しにおんりーちゃん像がある……だけだと思っていたが。
 そこには僕の像も建てられていたのだ。
「え……」
 僕は言葉が出てこなくなって立ち止まる。そして、自分がオウムちゃんのことを少しでも疑ったことを酷く後悔した。
「これ、オウムちゃんときおきおさんが作ったってこと?」
 僕の代わりに喋ってくれたかのようにコハロンがオウムちゃんに聞いた。
 オウムちゃんは満面の笑みを浮かべて、
「うん!」と元気よく返事をした。「ヒカックの恩返しに、何出来るんだろ〜って考えてたんだけど、私元オウムだから、難しいこと分からなくて」
「すごい、ちゃんと体まで作ってるよ」
 ぽんPがヒカック像まで近づいて行ってよく観察している。僕は何か言おうとしたけど、オウムちゃんが先に話を続けた。
「でもね、昨日ヒカックやみんなと釣りしたり、水槽作ったりして楽しかったから、恩返しは何か作りたいなって思ってたんだ!」
「川の中に魚の造形がある!」
 とぎぞくはヒカック像の下に並べて作られていた魚の建築があった。なんの魚か分かんないけど、多分ジンベイザメを作ろうとしたんだろうな。
「ありがとう、オウムちゃん」
 僕がやっと言えた言葉はそれだった。オウムちゃんは嬉しそうに笑って、恩返しになったかな? と聞いてくる。僕は、ちゃんと言おうと思った。
「オウムちゃん、ちゃんと伝えたいことがあるんだ」
「……?」
 僕はみんなを振り向いてこう言った。
「ちょっと、僕とオウムちゃんを二人きりにしてくれる?」
 ぎぞくは何か言いたげに、コハロンとぽんPはお互いみんなを見つめ合って、最終的には頷いてくれた。きおきおさんだけ「?」みたいな顔をしていたが、何かを察したのかどうぞどうぞとみんなは初期地の方へ去って行った。
 僕はきょとんとしてるオウムちゃんと向かい合った。
「一旦こっちに行こう」
「うん!」
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