第17章 代替品の恋慕
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〇〇side
化粧室で気持ちを落ち着かせると
涙腺をきゅっと締めて
御手洗から出る。
すると…
「〇〇ちゃん!」
と修斗が待ち伏せていた。
『修斗くん!
どうしたの?^^』
「遊ぶ約束だったのに、
急にどっか行っちゃうから
追いかけてきたんだよ!」
『そっか、そうだったね…( ˊᵕˋ ;)
ごめんね』
「〇〇ちゃん、大丈夫?
あの女の人に意地悪されたの?」
と言われてドキッとする。
そんなことはない。
けど、あの状況で2人と居るのは無理だったの。
……なんて言えない。
『ううん。されてないよ^^』
頭を撫でながら笑顔で応える。
「じゃあ、炎 暁?」
子供とはいえ、やはり子役は侮れない。
すごく人を見ている…
「それとも風野 颯介?」
〇〇を心配して根掘り葉掘り聞くところに
少しトキヤを連想して
『クス…』
と笑みがこぼれる。
「あっ、やっと笑った…//」
青年のような表情をする
修斗に思わずドキドキしてしまった。
『もう!
心配してもらわなくても大丈夫だよ!
ほら、遊びに行こ!』
どっちが子供なのか、
ダッシュを始める〇〇に
「あっ!ずるい!僕も行く!」
と、ついていく修斗。
〇〇は自分よりも小さいこの男の子に
驚くほど心を救われていた。
(ホントの彼氏は追いかけてくれなかったけど、
この小さな騎士がいるから今日は大丈夫。)
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夕日に照らされた
倉庫の傍で隠れ鬼と称して色んなところに
身を潜める修斗
それを『どこかなぁ?』
なんて言いながら探す〇〇
すると屋上に向かう階段で
身をかがめている修斗が
地上から見える。
(いたいた…)
あと1フロア…という所まで
近づいていくと…
レンの荒ぶった声と
「安心しい…フられたわ。」
というヴァンの声が聞こえる。
ドキリとし、
修斗から見えない位置で足を止める。
チラッと見上げると
修斗も屋上の様子が気になって
見ているようだった。
「…っ……そうか…」
〇〇は、ヴァンが春歌に告白してフられ、
レンが今静かに安堵したのだと感じ取った。
「…ていうか、レンちゃんも本気やのに
なんで告白せえへんの…?」
「…フッ…
本気だからこそだよ…」
「…?」