第14章 告白
トキヤside
ブブッ…携帯が震え、
1件のメールが来ていることに気づく。
確認すると、
”JOKER TRAP 再公演決定!”
という件名で
公開日時や、
稽古に関するスケジュールなどが
本文に書かれている。
そのなかに、
”ただし、ヒロイン役は検討中”と記されている。
「はぁ……〇〇さん…
どうされていますか……」
トキヤは独り言で
彼女の名前を呟いた。
「ん?誰?〇〇さんて…?」
という声を聞いて、
自分が今は寮に居るということを思い出す。
慌てて
「あ、げ、劇団シャイニングで
共演したヒロイン役の方で…
い、今 再公演が決まったと連絡があったので、
どうされてるのかと思っただけです( ˊᵕˋ ;)」
と、誤魔化す相手は
同室の一十木音也。
「へぇ!かっこいい舞台劇だったもんね!
忍び道はまだ連絡来てないや~…」
「あの劇は関係者や舞台装置が多いですもんね。
もう暫くしたらきっときますよ。」
と励ましの言葉をかける。
「えへへ。ありがと。
こっちはヒロイン役の女優さんとは
あまりコミュニケーションとれなかったんだけど、
トキヤの口から名前が出るくらいだから、
そっちは結構仲良くしてたんだ?」
と、興味津々な様子の音也。
「ええ。まあ…
子役からやられている方ですし、
フリーランスで芸能活動をして、
副業で会社の社長もされているので、
社会人としてきちんとされていて、
一緒にいてとても勉強になる方でした。」
少し懐かしむように
〇〇のことを語るトキヤ。
その笑みは慈しみを秘めている。
「へぇ!凄い人なんだね!」
トキヤのそんな様子に
音也も自分の事のように嬉しくなる。
「……そちらは翔とアナタがいて
コミュニケーションがとれなかった…
なんてことあるんですか?」
と、話を逸らすトキヤ
「えーと…
結構大人しい人でさ。
俺達も俺たちで騒がしいから、
ずっと男だけで盛り上がってる感じだった。」
アハハ…と頬を掻きながら
反省みたいな顔をする音也。
「あぁ…なるほど。
それは、…まあ、…アレですね。」
「でも、再公演決まって、
また共演出来たら
次こそは色々と話してみるよ!(*•̀ᴗ•́*)و ̑̑」
と、前向きな音也。
「クス…そうですね。…」