第12章 向き合う
特番当日
テレビの前で皆の様子を
見守ることしか出来ない私。
”「発表します。
協議の結果、
SSSオープニングアーティスト選定のため
QUARTET NIGHT
ST☆RISH
HE★VENS
の3グループによる決戦ライブを行うことに
決定しました!
開催日は12月24日
開催場所はナショナルアリーナ。
各グループで、1曲ずつを披露。
曲目はいずれも新曲
そして、公平を期すため、
3曲とも作曲者は
シャイニング事務所所属の
七海春歌とします。」"
と、司会者が概要を全て喋りきる。
その最後の発言と、
宣材写真で私の脳はフリーズする。
『えっ……ちょっと待って……
作曲って…こんな
可愛い女の子がしてるの……?……』
ドクドクと脈が早くなっていく。
色んな情景が浮かんでくる。
トッキーやレンくんが新曲をもらって
喜んでいたところ…
ミューちゃんやランランが
もらった曲をいいアレンジにすると言って
楽しそうに編曲していたこと。
作曲者がST☆RISHの7人を
引き合わせてくれたと
感謝していたトッキーの顔。
告白される前に
ある女の子に思いを寄せていると
相談してきたレンくんの顔…
とあるパーティでミューちゃんが
可愛い女性を連れていたという噂…
「俺らしい曲を作ってくれる奴」
とあの夜語っていたランランの
少し綻んだ顔…
『あれ…?…
…なんか、もしかして…
すごい悲しいことに気づいちゃった?
私……当て馬だったりする?』
そんなことないはず。
みんなの愛を疑うなんて…
そんなの絶対ダメだよね。
『気のせい、気のせい…』
なんて言っていると
七海さんの席が天空へと上がって
レイジング事務所の社長と
シャイニング事務所の社長が
彼女を囲んで
作曲は貴女しかいないとまで言っている…
才能もあって…
純粋無垢そうで…
そんな子に…
『勝てるわけない……』
私は無性に4人に会いたくなった。
4人に会って、
そんなことない。お前だけだよ
って頭を撫でて欲しい…
でもみんなはテレビの中…
しかも、みんな真剣に戦おうとしてる。
邪魔しちゃダメ…
変に話題に出して
別れるってなったら…と思うと
彼女のことを聞く勇気すら出ない。
でも、この気持ちを隠して
抱きしめ合うくらい…いいよね?