第1章 処女(おとめ)の祈り
自室の美兎。
組んでいた両手をほどいて颯真の触れた口びるを左手の薬指でそっとなぞる。
(ごめんね、颯真くん。)
颯真の口びるの感触を思い出したらブワッと身体が熱くなる美兎。
「や、やだあっ!私!」
火照った顔をクッションに埋めてベッドに倒れ込む。
(………キ、キスは許しちゃったけど、え、えっち♡は絶対にダメなんだからあ!結婚式の夜まで絶対に!
――――そう、ロマンチックな高原のスィートルームでウェディングドレス姿の私を颯真がお姫様抱っこして…………降ろされたベッドの上で熱い熱い口づけの後、優しい手が背中のファスナーに掛かって…………)
「きゃっ♡♡」
美兎は幾度も思い描いている妄想に一人で興奮してうつ伏せのまま手足をバタつかせた。
(…………だからっ!
女神様、女神様!その日まで私の♡♡を守ってくださいっ!
願いを、願いを―――――――)
『ピカア――――――――ッ!!』
その時窓から妖しげな光が差した。