第1章 絵心さんと糸師くん泣いちゃうでしょう?
「おかえりー、ちゃんと休めたかい?」「ちわーっす。渋谷で遊んできましたー。」
元気に挨拶をした後スマホの写真を見せてもらう。
U-20日本代表まで映っている。こうして見ると誰とは言わないが老けてんなぁ。
「楽しんでいたようで何より。にしても錚々たるメンバー。試合を思い出しま…って、あれ?糸師君いないね」「お、本当だ。今回の功労者ほぼ全員いるのに」
「…………」
視線を逸らすエゴイスト達
「イジメ、カッコ悪い」
「こらこら、健全なスポーツマンだぞ。そんな幼稚で陰湿なことするわけないだろ」
「あはは、声は掛けたんですけど、断ったんだよね?凛くん」「………ふん」
「なんだ、ぼち活してただけね」
安心、安心とみていると、少し煩わしげにこちらを睨む
「何か、文句あんのかよ」
睨まれながらも相手は大人。
「いや、別に。休日に何しようが個人の自由だよ。一人で過ごそうが、家でのんびりしようが、マスかこうが」
『マス』という単語を聞いた相方がお茶を吹き出す。
「まぁ、ちゃんと休めたのなら良いよ。サッカー界のゴルシ君」 「ご、ごるし???」
いきなり不可解な単語を言われ疑問符を浮かべるエゴイスト達。
何だ?ゴルシって?
「ゴールドシップの略、でかい、賢い、頑丈と三拍子そろった「白い悪魔」とも呼ばれた。競走馬だよ」
「おま、ゴルシは流石に失礼だろ。ゴルシ程の失態はしてないだろ?出走直前に隣の馬に突っかかってスタート出遅れた挙句負けて奴に賭けてた馬券紙屑にしたんだぞ。」
ゴルシに賭けるものは馬鹿
「えー、似てると思うんだけどなぁ、相手を舐めプする時に舌を出す所とか。煽りグセとか。やる気ある時の異次元の強さとか。気に入らない奴徹底的に嫌う所とか」
ゴルシに賭けないものは馬鹿
練習試合の最中、士道と取っ組み合いの喧嘩しだした事を思い出し遠い目をしだす。
「大体ゴルシ程愛想良くないだろ?ゴルシ女に優しいし」
「あ、そういえばそうだわ。ゴルシ可愛い。ゴルシに失礼だったわ」
いきなり掌を返され、通称ゴルシは少し眉を顰める
「おーい、いつまで休憩してる。さっさと仕事に戻れ
ロックオフ」
モニターより監獄の主現る。
「あ、絵心さん、もうそんな時間ですか?」
「あ、パーソロン」
瞬間、此方を見る能面の様な監獄の主の眉がピクリと動いた。
