第6章 次、意見、合うのいつになるかな?
女史はこの日、いつにも増して、頗る機嫌が悪かった。連日のサービス残業に加え徹夜の日々、上司の無理難題で疲れきってる身に振り掛かった。金の亡者のくっだらねー、需要あんのか?想像力死滅してるぞ、なファングッズの感想と相談をされたからだ。
心底どうでもいい。と、いった心持ちのまま思った事を言おうかと思ったが、曲がりなりにも社会人。大人の対応をした。
幸か不幸か、相手方は善い方へととらえ、ご機嫌な様子で気を良くして、女史にとって薬にもならない自慢話やら愚痴やらを聞かせ続けた。そして、あろうことか、話を聞き流していた女史の腰やら尻を触ってきたのだ。
「ほっそいねー。駄目だよ食べなきゃ。若いんだし人生楽しまなきゃ色々と損だよ?」と、いう余計な説教付きで。
その腕、へし折って、指の先から肩まで一本、一本、丁寧に折って、ついでに爪も剥いでやろうかと思った。
お前とあのサッカー狂人がいなければ、こちとら人生の春を謳歌してるんだよ!?
大事な大会に向けて、お互い調整したかったのに、忙しくてろくに乗れてないんだぞ!?
という、罵詈雑言が舌先まで出かかったが、耐えた。
言っても無駄だし、女史と金の亡者基不乱蔦との間に漂う冷ややかな空気に顔を青ざめさせる相方が不憫だったので、当たり障りのない応対をしてその場を離れた。
「良かったよ、流血沙汰にならなくて、」 「大人だからね。カメラに映ってればあのエロ狸爺、社会的に抹殺出来たのに」
企画が潰れる?上等じゃないの、元々副業だし。大体この人権侵害の非人道的な施設、良く世間様にぶっ叩かれないのか心底疑問だわ。そろそろ囚人達がご飯食べに来る頃だ。仕事するか。
「········と、云うわけで、相方は頗る機嫌が悪いのであまり刺激しないように」
食堂に入ると、調理場で凄い音がしており、何を作ってるのか聞くと男マネことステゴさんから先程起きたセクハラ事件を聞かされた。あの会長、よく生きてるな。
「というか、銭ゲバ狸もあだ名で呼んでるんだね」 「あいつ、基本的に人の名前覚えないから」