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【文スト】対黒・弍

第1章 DOGS HUNT DOGS


そんな時間も永くは持たなかったーーー


突然、ガンッと音がした。
それと同時にーーー


「え……?」

コポッと小さく水音を奏でて、口から血を流す宮沢賢治。

その身体を、長い剣が貫いていたのだ。


「逃さぬ」


地上から上空まで異能で伸ばした剣の切っ先を折り曲げて賢治の体とヘリの機体に固定する末広鐵腸。


「おいおいマジかよ。何だあの怪物」


さすがの中也も驚いて状況把握のために相手を覗く。

そうしている間に、鐵腸はヘリの機体まで登って足を着いた。
剣を構える鐵腸の様子から、最悪の事を予想する中也。


「拙い!あの怪物野郎ヘリの回転翼をぶった斬る気だ!」


その言葉にギリッと噛み締める国木田。
そしてすぐにーーー


「谷崎、必ず真犯人を暴け」

そういうとヘリのドアを開ける。

「頼んだぞ」

「国木田さん!?」


そういうと国木田は躊躇いなくヘリから飛び降り、鐵腸をヘリから蹴り離した。

「なっ…」

その行動に驚きつつも、直ぐに体制を整えようとする鐵腸。

「愚かな。この高度でも俺は死なぬ。再び剣を伸ばしヘリを追う」

「愚かなのは貴様だ」

その言葉に冷静に返す国木田。

「俺の予定は何人にも乱せん」



『貴方の理想は気球のように大きく高い。ですが気球は何時か必ず燃料が尽き、地に落ちる』



先程の戦闘で、条野が国木田に吐いた言葉が脳裏に浮かぶ。


「我が名は国木田独歩!我が理想は堕ちぬ!この「生命」を燃料にして永遠に飛び続ける!」


そう言うと懐から紙切れを取り出す。


『手榴弾』ーーーと書かれた紙が、本物の手榴弾に変わる。


「!」


ドォオォオオンーーーー


「国木田さぁあぁん!!」

谷崎の声は大きな爆発音に飲み込まれ、ヘリはその場から離れていくのであった。
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